アラフォー女の光と影

バツイチ独身アラフォー女が思うこと、心の内。

【エッセイ】正直に言う「ママたちに対する思い」

正直に言おう。私はママになった人の気持ちがわからない。当たり前だ。子どもがいないからだ。

でも、周りはほとんどママになって、ママになった友人同士、いろいろな会話をしている。そこに入りたいとは思わないが、ずっと分かり合えると思っていた友人が自分の知らない世界に行ったようで少し悲しい。

それと同時に、勝手な思い込みだが、ママになっていない自分は世間からレッテルを貼られているような気持ちになる。理由は2つ。一つは、日本にはどこか女性に良妻賢母を求めている気配を感じる。もう一つは、心のどこかで優等生を演じたい、誰からも認められる自分になりたいと思っているのにママになっていないから、自分はしょうもない人間なのではと考えてしまう。

 

じゃあ、ママになればいいと言われそうだが、自ら進んでママになるつもりはない。ママになったら自分の世界に浸れなくなると思うからだ。

私にはやりたいことがたくさんある。子育てに自分の時間を費やすのは正直引ける。40歳手前になって、今更親になれる気がしない。親になることが怖い。

 

SNSで家族の思い出を載せたくない。SNSに投稿するなら、私自身のことを載せたい。まぁ家族との思い出も自分のことではあるが。なんというか、自分のみの世界を打ち出したいし、自分からの輝きだけを放ちたい。

 

 

正直に言おう。家族での思い出アピールが目障りだ。子どもがいない私に見せつけられているような感じですごくイラつく。もちろん、本人にはそのつもりがない。けれどムカつく。ママでない私のほうが自由で、楽しくて、人生充実していると言ってやりたくなる。

 

と、あれこれ言っても、子どもは授かりもの。今ああだこうだ考えていても、急に授かるかもしれない。授かったらもちろん産む。大好きな彼との子なら喜んで。でも、子育てに縛られたくない気持ちもある。子育てに縛られている人を見てきたから気が引けるのだ。子どもは好きだが、今の私にとって子どもは私の時間を奪う存在としか思えない。だから子どもはいなくてもいい。

 

それ以上に自分のやりたいことを全うしたい。もちろん、仕事や自分のやりたいことと家庭を両立しているママもいるけど、「子どもがいても頑張れる」じゃなくて、「自分一人でも常に頑張れる」人で私は在りたい。

 

この話の結論は、私は誰にも縛られたくないし、日本に漂う女性に良妻賢母を求める感じに辟易していて喧嘩を売りたくなる、だ。別に売らないけど。こう思うのは変なのだろうか。

 

でも、自分が知らない経験を知っているママを見ると少し羨ましい。だから、なってみたい気持ちが少し湧いてくる。しかし、同時にママってそんなにすごいのか?とも思ってしまう。ママにならなくても、常に自分に挑戦し、周りに慈悲の心を忘れず、社会に貢献しようと思って行動するだけでも十分すごくはないだろうか。

 

何かの存在の有無に関わらず、人は頑張れる生きものじゃない。

子どもは自分のモチベーションを高めるものではない。

自分のモチベーションは自分で高めればいい。

 

ママにならなくていい気持ちと、なってもいい気持ちと、なりたい気持ち。この混沌はいつになったら解消されるのか。またどうやって収束させればいいのか。まだ今の私にはわからない。

 

 

【エッセイ】未熟

人間とは勝手だ。

 

都合が悪くなると責任逃れをしたり、自分の感情のままに行動したりする人がいる。誰もが自分が一番かわいいから、自分を守るために自分勝手な行動してしまう。それは仕方ない。私も完璧な人間ではないから勝手な部分はある。けれど、勝手さを発揮するならTPOや周りの状況を見てからにしてほしい。

 

忙しくなるまでは「なんでも聞いてください」と言った年下の後輩。

現在、フリーランス同士でチームを組んで取り組んでいる案件がある。その案件は私にとって初めての内容で、経験豊富なその人は頼れる存在だった。

 

しかし、案件の主催側の都合で彼の業務は一気に増え、パツパツの状態に。これは主催者側が圧倒的に悪い。けれど、忙しくなった途端に年下の後輩は全くサポートしてくれなくなった。

 

手が回らなくなるのは仕方ない。忙しいのはわかる。

けれど、それまで手厚くサポートしてくれたのに、いきなり何もしないのはいかがなものか。一言くらい状況などを言ってくれてもいいじゃないか。以降、其奴は全くサポートしてくれなくなった。

自分の勘と経験則で現在仕事はこなせているが、いい顔しておいて自分がアプアプしたら途端に消えたあやつに腹が立つ。いい大人なんだから、もう少しスマートに立ち回れないものか。人が足りないのに業務を引き受けまくる主催側にも腹が立つ。

 

 

地域のイベントで運営スタッフになったときのこと。

同じチームになったリーダー的存在の女性は、最初の打ち合わせから作業内容を理解するのが遅かった。それは仕方ないとして、何が苛立ったかというと当日の暴走ぶりだ。

 

自分が束ねるおばさま達に仕事を割り振るが、自分が理解していないのにうまく回らないと、おばさま達に作業を押し付ける。当日は想像以上にイベントに人が参加し、それに焦ったのか打ち合わせとは違う動き方をし始めた。自分がやりたい作業を勝手にし始めたのだ。周りも困惑し、落ち着くように制止するが暴走は続く。

 

テンパる気持ちはわかる。予期せぬことに焦ることは誰しもある。

でも、リーダーぶるなら、周りのせいにするなら、まずは自分の仕事を理解してくれ。全うしてくれ。

 

 

どちらも些細なことだ。こんなことで苛立つ私の器が小さいことは重々承知だ。

けれど、何がむかつくかと言うと、自分に想定外のことが起こったときに手のひらを返すように言動をころっと変えたことだ。自分がヤバくなったときには平気で人を裏切る気配を感じさせる、小さな“卑しさ”が腹立たしかった。

 

人間性は些細なところに表れる。大したことないことほど丁寧な対応をするに越したことがないと、彼らを見て痛感した。

 

かく言う私も、相手の言動に対してあからさまに顔に出してしまった。自分の器の小ささを露呈してしまった。些細な苛立ちをスルーできない私も私だが、自分の状況によって周りを振り回すような人間にはなりたくない。

 

 

最後に一つ。

 

 

ふたりともメガネをかけたインテリ風の風貌だ。それがまたムカついた。メガネをかけて賢そうな雰囲気を醸すなら、言動も品性を感じさせてほしい。

 

メガネ姿に騙された私も、まだまだ未熟だ。

 

 

 

 

 

 

天海祐希に花束を

離婚して2年後に今の彼と出会った。

これまで出会った男性の中で一番相性が良く、私の全てを受け入れてくれる人。いつも穏やかでなんでも私の言うことを聞いてくれる。感情豊かな私を受け止めてくれる。朝寝坊しても嫌な顔一つしない。私にはこの人しかいないだろう。

 

昨年から同棲を始めた。

同棲初日に念願の猫を迎えた。実家で18年飼っていた愛猫が亡くなったとき「こんなに辛いならもう飼わない」と思っていたが、3年が経ち、新生活と共にまた飼いたいと思った。やってきた猫はとてもやんちゃなオスで俺様の内弁慶。かわいいけど憎らしい、でも憎めない。甘えん坊で、私が移動すると必ずついてくる。子どもを授かる可能性が低いアラフォーの私たちにとって、我が子のような存在だ。

 

フリーランスとして働いているが、ありがたいことに仕事は途絶えていない。

毎月安定した収入もある。会社員時代よりも収入は増え、欲しいものは自分で買えるようになった。

 

 

総じて今の私は幸せだ。なんら不満はない。

 

 

けれど、不安はある。

 

 

人生に不安を抱くようになったのは昨年のこと。

体の衰えを感じ、いくら童顔でも老けるものは老けるんだと痛感した。

 

まだ若いと思っていても、確実に死に向かっている。死を意識したのは幼稚園以来だ。初めて「死」を認識した当時、自分がこの世から無くなってしまうことにとてつもない恐怖を感じ、泣き止まなかったことを覚えている。

 

自分の老いを感じて以来、頭の片隅にはいつも死がある。自分もいつかは死ぬんだと以前に増して思うようになった。この地球にいる限り、生まれてきたら死ぬのは当然の摂理。けれど、改めて意識するようになると怖い。

 

死を意識するようになって、思い通りの人生にしたい気持ちが強くなった。

人生は良くも悪くも思い通りにならないことのほうが多い。予測がつかないのが人生だろう。けれど、死に向かっていると思うと、少しでも自分でコントロールしたくなる。見えない将来が怖くなる。

 

私はこのままどうなるのかと不安でたまらない。

子どもを授かることなく彼と二人で老後を迎え、彼に先立たれたら独りになってしまう。そしたら私の余生はどうなる? 認知症になったら誰が支えてくれる? その頃には地域包括ケアシステムが確立して(いることを願いたい)、誰かがサポートしてくれるかもしれないが、独りは心細い。

 

その時にならないとわからないなんて知っている。なのに、ぐるぐるぐるぐる考えてしまう。どうしようもないとわかっているのに止まらない。

 

 

 

 

漠然とした不安に悩む中、久しぶりにテレビで天海祐希をみた。好きな女優の一人だ。

 

いつまでもかっこよく、美しい女性の代表格。最年少で宝塚歌劇団のトップスターになり、退団後もトップ女優として活躍し続けている。なのに、飾らず謙虚な性格。非の打ち所がない。画面に映る天海祐希に見惚れながらふと思い出した。

 

以前なにかの番組で、老後のために貯金していると話していた。あの天海祐希が老後のことを考えているのかと驚いた。あの立場でサラッとそう言う天海祐希に親近感を抱いた。

 

華やかな世界にいても、人生を見据えたときに感じる不安は同じ。どんな人にも等しく死はやってくる。天海祐希でさえ老後を不安に思うなら、私が不安になるのは当たり前。一人でえらく不安がっている自分がバカらしくなった。

 

先のことなんて誰もわからない。

繰り返し思っていたけど、今度こそ心から思えた。腹落ちした。

 

 

あんな立場の人がためらいもなく言ったことは、私だけでなく多くの人を勇気づけたと思う。掴みどころない不安に苛まれる私に勇気をくれた。

 

この先、天海祐希に出会うことはないだろう。ずっと画面越しの人に変わりはない。でももしこの先奇跡が起きて会うことになったら、花束を贈りたい。

 

救ってくれた恩人として、ありがとうと感謝を伝えたい。

 

 

 

親友の裏切り

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私には親友がいる。

美人でスタイルが良く、気さくな性格。仕事と育児を両立し、旦那に文句があっても本人の前ではグッと堪えて旦那を立てる。よくできた女性だ。唯一定期的に会う友人で、彼女には何でも話せる。

 

そんな親友に裏切られた。別に本人は裏切ったつもりはない。何気ない彼女の言葉に私がそう思っただけ。でもその一言で、親友に対する想いがパチンと切れた。

 

 

先日、親友を含め3人で女子会をした。もう一人は後輩で、親友も私も会うのは3年ぶり。先に後輩と私は落ち合った。

 

後輩と会っていない間の出来事を話した。主に今の彼とのことだ。

 

彼とは付き合って3年目に入り、同棲もしていて順調だ。再来年までには入籍しようと話している。親同士も仲良くなり、みんなで食事にも行く。同棲初日に迎えた愛猫は本当の息子のようで、もう家族として成り立っている。

 

しかし、付き合った当初は大変だった。


彼はバツイチで、出会った頃は元嫁との泥沼離婚劇で憔悴しきっていた。知らないうちに貯金を使い込まれ、「実家に遊びに行く」と言われたまま子どもを連れて出ていき、いつの間にか転校させていた。いわゆる連れ去りだ。彼はそのまま子どもと会うことなく離婚が成立した。

 

彼は温厚な性格だ。付き合ってからこれまで、理不尽に怒られたことはない。けれど元嫁は弁護士を通して彼をモラハラと呼び、徹底的に攻撃した。自分は家事育児をほとんどせず、お金も使い込んだのに。

 

財産が欲しいがための言いがかりとはいえ、聞くに耐えない仕打ちだった。やっとの思いで離婚は成立したが、結局今でも彼は子どもと会えていない。本当は会いたいが、子どものことを思って身を引いた。きっと元嫁が子どもに自分のことを悪く吹き込んでるだろうから、その状況で自分と会ったら子どもが混乱するからと。彼なりの子どもへの精一杯の愛情だ。

 

その後に私と出会う。

まだ傷は深く、付き合った当初は元嫁への恨みつらみを聞かされた。私もバツイチでそこそこ大変だったから、彼に寄り添って彼の話を徹底的に聞いた。子どもを奪われたショック、もう会えない悲しみ。止まることなく話された。

 

いきなり自分の目の前から消えて、悪者にされたらそうなるのも仕方ない。だからひたすらに聞いていた。さすがに私もしんどい時はあったけど耐えて、彼を支えることに徹した。

 

子どもと引き離されたショックからか、鬱の症状も見られた。結局、鬱と診断されたら自分が崩れるそうだからと病院には行かず、なんとか精神を保って乗り越えた。彼も辛かったが私もそれなりに大変だった。この一連のことを親友には話していた。



久々に再会した後輩に話し終えた頃、親友が遅れてやってきた。私の近況報告をしていたと伝えると、彼女は後輩にこう言った。


「聞いた?まじ面白いでしょ!もういろいろあってホントに面白かったんだから」


愕然とした。

 


親友は楽しい場にいると、舞い上がって人を小バカにして笑いをとろうとする癖がある。優劣感に浸りたいのか、やや上から目線でものを言う。まさにその現れだった。もしかしたら彼女なりに場を盛り上げようとしているのかもしれないし、舞い上がったらそんなこともあるだろうと考え、今までは流していた。

 

けれど、今回の言葉はさすがに刺さった。


私はあまり人に弱音を吐かないし相談もしない。辛くてもサラッと言うタチ。だから彼との間でしんどいことがあっても面白く可笑しく話したこともある。心配かけたくなかったからだ。それでもなかなかヘビーな内容だったから、私が笑いながら話しても親友は神妙な面持ちで聞いてくれた。

 

だからなおさら、今回の言葉はショックだった。私が辛かったことを知っているのに、ネタにするのは少し違う。軽率だ。けれど、その場を笑いながら終わらせた。

 

この一件で親友に対する何かが弾けた。私が辛かったことを知っているのに小馬鹿にするのか。やはり人の不幸は蜜の味なのか。仲が良くたってこんなことが起こる。やっぱり人間は信用できない。

 

最後は笑顔で別れたが、私の心は不完全燃焼だ。本当に信頼できる人を見つけるほうが難しいのかもしれない。哀しかった。

 

 

今はしばらく親友には会いたくない。

 

 

お手本は彼

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37歳になって老化を感じるようになった。昨年のことだ。


一昨年から痩せにくくなってきたとは思っていたが、他にも目に見えて老いを感じることが増えた。

 

例えば白髪。ハイライトでごまかせるけど、前髪らへんからツンツン出ているのを見るとやっぱりテンションは下がる。


丈夫で褒められることが多かった肌も、昨年から荒れやすくて治りが遅い。ドクターズコスメや美容クリニックに通っても良くならない。

 

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老化の実感はこれからの人生を不安にさせた。

これから老けて見た目が劣化しても私は幸せに暮らせるのだろうか。


同棲している彼と今は順調だが、このまま子どもを授からずに老後を迎えたらどうなのだろうか。
やっぱり子作りすれば良かったと後悔しないだろうか。


子どもがいない中、彼に先立たれたら独りになってしまう。寂しくなったらどうしよう。二匹くらい猫を飼えば独りの虚しさを感じずに済むかもしれない。


けれど、そもそもいつ死ぬかなんてわからないし、私が彼を置いて先に逝くかもしれない。もしかしたら明日の可能性もある。

 


まだやりたいことも欲しい物もたくさんあるのに死ぬのは嫌だ。でも死ぬ可能性は否定できない。

こんな調子で不安は一気に広がった。ドツボになると考え込む性格がゆえ、ひとつ不安を感じると関係ないことまで考えてしまう。不安を作る達人の自分が笑える。

 

 

彼も出会った当初と比べて立派なおっさんになった。

 

多分10kgは太ったはず。痩せるために得意のジョギングを試みるも雨が降ると走らず、結局そのまま。毎日500mlの缶チューハイ3本の晩酌を楽しみ、寝る1時間ほど前になると小腹が空いて何か食べる。そりゃ中年太りする。もう40歳なのに欲望のまま飲み食いして、この人は危機感を抱かないのだろうか。

 

 

「自分が老けたと思うことある?」

「ないよ。俺、老けてないし」

 

絶句した。本気で思っているのだろうか。

 

「いや、その顎見てよ。すごい太ったし、前より痩せにくいから老けたなとか思わないの?」

「痩せる痩せないは年齢のせいじゃなくて、普段の生活の問題だし」

 

怠惰な生活は自覚してるんだ。

 

「じゃあ痩せる痩せないは別として、他に老けたと思うことないの?」

「そうだな、白髪が増えたくらいかな?まぁ俺、老けてないから!」

 

この人はこれから見た目が劣化しても何も気にせず、どんと構えているんだろう。私がこんなに老いを嘆いていても、一緒にいる彼はぶぐぶく太ってもあっけらかんとしている。なんて楽観的な人なんだろう。

 

羨ましくもあり、自分がアホらしくなった。どんなに頑張ってアンチエイジングしても、老化を完全に防ぐことはできない。

 

 

いつまでもきれいでいるためには細部まで入念にチェックすることが欠かせないが、しすぎると自分に絶望する。心もお金ももたない。自分に甘いくらいのほうが気楽に生きられる。

 

彼くらいノー天気になれたらもっと人生を楽しく生きられると思った。アンチエイジングよりも気楽に生きるほうがコスパもいい。

 

はじめて彼を見本にしようと思った。彼の気楽な生き方を私もマネしたい。

 

 

風船

ここ数年で整形や医療美容が急激に普及し、美容クリニックに通う人が増えた。

 

例に漏れず私もその一人で、昨年から通うようになった。理由は老化の実感だ。昨年から老いを感じ、小顔や美肌を求めて定期的に通っている。

これまで受けたのは肌の汚れを落とすハイドロフェイシャル、小顔効果のあるハイフとボトックス。先月から今月にかけてハイフとボトックスを受けた。


ハイフは皮膚の内側に熱を発生させて肌を引き締める。

 

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焼肉を想像してほしい。脂の乗った艶々のカルビ。でろんとしているのに七輪で焼くとじわじわと小さくなっていく。“よく焼き”状態まで焼くと、焼く前の大きさよりも一回りほど小さくなる。


ハイフはこの現象を肌の内側で起こす。すぐにあそこまで小さくならないが、イメージはあれに近い。

 

 

ボトックスはボツリヌス菌という細菌が作り出した毒素を筋肉に注入して、筋肉の動きを抑える。この働きによってシワがなくなり、フェイスラインがすっきりする。


やりすぎると食用ラップやビニールみたいな突っ張った顔になるので要注意だが、施術直後から変化を見られ、3ヶ月から半年ほど効果が続く。

両者とも効果が実感しやすい人気の施術だ。

 


この素晴らしき施術を2週連続で受けた。

しかし、思っていたほどの効果がない。

 

顎下のたるみ、ボトックスで抑えたはずの咬筋はいまも十分な存在感がある。以前はすぐに効果があったのにどうして。ダウンタイムはあるものの、もう少し効果が出てもいいのでは。

 

いくら自問しても考えても顔は変わらない。変わらない理由もわからない。もう少し様子を見ようと思ったが、せっかちな性格と小顔への執念から新たな施術を予約した。脂肪溶解注射だ。

 

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効果は名前のとおりで、脂肪を溶かす薬剤を気になる部分に注入する。
BNLSというその注射は、クリニックのHPによると施術後すぐに効果を実感し、ダウンタイムはほぼなし。まさに神技だと思った。見つけたからには善は急げ、ボトックスを受けたちょうど1週間後に予約をいれた。

 

 

 

美容クリニックは必ず最初に医師の説明から始まる。


悩みのヒアリング、施術内容、効果、施術の注意点、ダウンタイム、副作用など。HPでしっかり予習してきたから、答え合わせをするように医師の説明を聞けばいいだけだ。

 

胸の高鳴りを抑える中、他の施術でお世話になった女医が現れた。


「注射後は少し腫れますが、明日にはかなりスッ

キリするので大丈夫ですよ。

 

でも、明日お出かけや人と会う約束があるなら施術は今日じゃないほうがいいですが、大丈夫ですか?」


やっぱり少しは腫れるのか。

まぁしょうがない。異物を体内に入れるんだしそりゃ腫れるか。とはいえ、比較的すぐに小顔になれることは間違いないだろう。

 

はい、大丈夫ですと応えた。


「効果を実感するには3回の施術が必要です。完全に腫れが引いた2週間後が2回目の目安です」


え、3回もするの? これ、1回で5万だよ? このメニューで15万するの?


今月もう既に6万かかってる。どうしよう、そこまでかかるとは思わなかった。

 


目の前にいる女医は飄々としている感じが私好みで、勝手に良い人だと思っていた。


けれど、今回ばかりは違う。淡々とした話し方が妙に鼻につく。こっちはきれいになりたい一心で来ているのに、もう少し愛想があってもいいじゃないか。

 

ものすごいスピードでいろんな思いが頭を駆け巡る。

ダウンタイムもあるし費用も高い。即効性があるから来たのに、3回もするのは予定と違う。話が違うじゃないか。

 


予定を変えるとも受けないとも言えないまま、説明はひとしきり終わってしまった。

もう引くには引けない。やるしかない。とりあえず1回受けてから次回を考えることにした。

 


 


いざ、施術室へ。
施術台に横になり、キンキンに冷えた保冷剤を渡された。顔の注射なのに麻酔を使わずに行うため、注入箇所をひたすら冷やして麻痺させる。これが地味に辛い。

 

しばらくして先ほどの女医が現れた。

顎下・左右のフェイラインをペンでマーキングされ、はいチクっとしますよと言いながらブスッと針を刺してきた。

左のフェイスライン、顎下、右のフェイスラインにニュルっと薬剤が入っていく。

うぅぅ痛い。


「はい、終わりましたよ。ちょっと膨らんでいるくらいですね。薬剤を注入した膨らみもあるけど、明日には腫れが引きますよ」

 

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鏡を見て愕然とした。

 

こんな下膨れの顔、特殊メイクでしか見たことがない。


ちょっとどころの腫れじゃない。まるで風船じゃないか。

ギャグにも程がある。10cc注入しただけでこんなに顔は変わるのか。

 

胸に広がる不安を抑えるようにマスクをして、クリニックを後にした。

 


本当に腫れが引くのか不安だったが、数時間後には腫れは引き、夜にはいつもの顔に戻った。

翌日もいつもと変わらない自分がいる。まずは2週間の経過を見てから、次の施術を考えることにした。

 


あっという間に膨らんだんだから、今後は風船が萎むが如く細くなってほしい。

今はひたすらにそうなることを祈っている。

 

 

 

 

 

静観する夜

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どんなに前向きに生きようと思っても、心が沈む時はある。

 

自分は自分と言い聞かせても、他人が眩しく見えて、自分と比べて落ち込むこともある。

他人と比べたところで無意味とわかっていても、落ち込む時は落ち込む。すぐに切り替えられない日もある。

 

でも、どうにかして前向きになろうとして切り替えを試みてみる。それでもやっぱり気持ちは暗い。切り替えようとすればするほど他人と比べてしまう。

自分をどうしようもないと思ってしまう。

悶々としてしまう。

 

 

言葉にならないモヤっとした気持ち。

吐き出したいけどうまく吐き出せない時は辛い。

心の中で浄化してうまく消化させたいけど、それができないからさらにモヤモヤする。

 

 

どうすればいいのか?

やっぱり無理やり前向きな方向にもっていくのがいいのか?

いや、余計に疲れる。

 

 

整理しきれないこの気持ちは、たぶん静観するだけがいい。

少し落ち着くまで、ひたすらいまの自分を見てみる。そのほうが無駄な労力も使わない。


これが夜なら、眠くなったら目を瞑ればいいだけ。翌朝起きれば気持ちも自然と切り替わっているはずだ。

 

荒波が細波になるまで待つように、心が落ち着くまでただ静観する。

 

 

 

こんな夜はただただ静かに過ごすのがいい。